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Le Successeur

映画
02 /26 2024
舞台と俳優の大部分はケベックですが、監督はフランス人、仏加ベルギー共同制作の映画。

successeur.jpg 「LE SUCCESSEUR」
Sortie le : 21 février 2024
De : Xavier Legrand
Avec : Marc-André Grondin, Yves Jacques, Anne-Elisabeth Bossé ...
あらすじ デザイナーのエリアスは、フランスの有名オートクチュールのディレクターに就任したばかり。多忙な中、父の訃報が入り、渡仏以来一度も帰っていなかったケベックへ諸々の手続きのため帰国する。そこでエリアスは、父の遺したものを発見する…。

驚いたのは、このハゲ男がマーク=アンドレ・グロンダンだという事実!ここ10年以上見かけなかったが、私が最後に観た「L'Homme qui rit」以降フランス映画には出なくなって(お呼びが掛からなくなったのかも)、カナダに帰ってしまったようだ。かつては華奢な美青年だったグロンダン君も40近くなって、禿げだし丸くなってるし(-_-;)。誰だか分りませんでしたよ、全く。目元のアップを見ると確かに彼なんだけど。前にガスパー・ウリエルと似てると書いたことがあるけど、同い年だったのよね…、ガスパーは亡くなるまで美しかったけれど…。
さて、この映画はサスペンス仕立て、原作の小説があるそうですが見せ方が上手い。父が地下に遺したものをグロンダン君は見つけてるけど、観客にはそれが何かは見えない。また逆に、お葬式の場面で事実を知っているエリアスが泣きじゃくっているのを、周りの人はみんな父を亡くしたことによる悲しみと受け止めているけど、観客は彼が全く別の理由で感極まっているのを知っている、という具合。しかしね、この彼が負のスパイラルに陥っていく様は不可解というか…、まあセレブな人は風評を気にする必要があるんだろうけどさ。
フランス語とケベコワのバイリンガルなグロンダン君、ケベックに帰ったのシーンではすっかりケベック訛りになっているのが新鮮。

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セザール圧勝「落下の解剖学」

映画
02 /25 2024
ここ数年あまりセザール賞のことは書いてなかったけど、今年は候補作を割と観ていたので久しぶりに総括してみます。

anatomie.jpg 「ANATOMIE D'UNE CHUTE」(「落下の解剖学」)
なんといっても大本命、カンヌとダブル受賞となった作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞(サンドラ・フラー)、助演男優賞(スワン・アルロー)、編集賞と主要部門総ナメ。セザールでは割とよくあるんですが、独り勝ち状態。オスカーにもノミネートされているけど、さすがにそれは難しいだろうな。サンドラ・フラーは、えー私ドイツ人なのにー、なんて言いつつ、ちゃんとフランス語でスピーチもして、なんか微笑ましかったです。欠席のスワンのセザールを代わりに受け取りに壇上に上がった時はとてもクールだったのに、自分の賞の時はかなり舞い上がってました(笑)

regneanimal.jpg 「LE RÈGNE ANIMAL」
一方、技術5部門(写真、音楽、音響、衣装、視覚効果)を制したのがトマ・カイエ監督のこの作品。主要部門でも軒並みノミネートはされていたけど、相手が悪かったか(笑)。主演男優賞、有望男優賞にそれぞれノミネートされていたロマン・デュリスとポール・キルシェが映画の中と同じように父子みたいに寄り添っていました。常連のデュリスに色々教えてもらっている初めてで何もかも新鮮なポール君って感じ。


この受賞式中、多分一番会場が沸いたのは、32歳にして有望男優賞を獲得したラファエル・クナールのスピーチだったんじゃないかな。このビデオは切ってあって、ホントはもっと長かったんですが、客席の監督や俳優たちをみんな笑顔にさせてしまう独特の話術。彼を去年起用してくれた監督みんなの名前を挙げて感謝もしてました。
商業的には全く成功しなかった「Chien de la casse」で、私もつい最近の傑作選で観ましたが、ラファエルだけでなく、ジャン=バティスト・デュラン監督が新人作品賞も獲得。共演のアントニー・バジョンとガラテア・ベルジもそれぞれ助演俳優でノミネートされてました。

主演男優賞を獲得したのは「Le Procès Goldman」のアリエ・ヴォルタルテー。この映画、傑作選にも入っていたけどどうにもテーマが魅力的じゃなくて、観る気が起こらなかった。ので何とも言えないんですけど、意外。ラファエル・クナールは「Yannick」でこちらにも候補に入っていて、両方取ってもおかしくなかったなと。
助演女優賞は「Je verrai toujours vos visages」のアデル・エグザルコプロス。この部門、5人中4人までこの映画!彼女が本命視されていたので、驚きはなかった。彼女の兄を演じたラファエルの受賞はまだ発表前でしたが、スピーチであんたはどこにでもいるし、と言っていた通り、実は彼が監督を務めた短編ドキュメンタリーもノミネートされていました。

最後に、意外だったのは外国映画賞。「オッペンハイマー」のノーラン(名誉賞は決まっていたけど)、「Perfect days」のヴェンダース、「枯れ葉」のカウリスマキといった名匠たちを差し置いてケベック映画の「Simple comme Sylvain」が受賞。この映画を観に行ったprinceも、悪くないけど他の候補に比べたらなあ…、と疑問を呈していました。まあセザール一つぐらいこの映画にあげても、他は色々貰ってるしって感じ?

大体どの部門も観ている作品が多かったので、授賞式も観ていて楽しかったです。オスカーに出てくる女優たちは絢爛豪華なロングドレスの人ばかりのイメージだけど、セザールは結構カジュアルな人とか、パンツスタイルも多いんですよね。ミニのドレスも多い。あと、ジュスティーヌ・トリエ筆頭に女性監督が増えてきたのも特徴で、今年の主演女優賞にノミネートされたのは全員女性監督の映画、とプレゼンターのジュリエット・ビノシュが言っていて、やっぱり女性の撮り方というか、見せ方が違うのかなあ、などと思った夜でした。

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Daaaaaalí !

映画
02 /23 2024
またまた出ました、カンタン・デュピユー新作。

daaaaaali!.jpg 「DAAAAAALI !」
Sortie le : 07 février 2024
De : Quentin Dupieux
Avec : Anaïs Demoustier, Gilles Lellouche, Edouard Baer ...
あらすじ ジャーナリストの卵ジュディットは、サルバドール・ダリにインタビューの約束を取り付けたが、会った途端に拒否される。ドキュメンタリー映画という形で何とかインタビューしようと試みるが…。

デュピユー監督、いつの間にこんなにポピュラーになったんでしょうか、この映画の公開に当たってレトロスペクティブまで行われて、過去の作品の特別上映まであったし、公開時は500人以上入る大ホール。毎回豪華な俳優を使っていて、しかも1時間ちょっとの短さ。最近のタイパ重視の若者にはちょうどいいのかも。でもフランス映画、彼はちょっと極端だけど、特にコメディは伝統的に短い。長いとダレるからね。
して、今回のテーマはダリ。あのダリ。様々な奇行や自己顕示欲の強い発言、特異な風貌で知られるダリをデュピユーが好まないはずがありません。タイトルはもちろん、ダリが自分の名前をダアーリー!と母音を非常に強く発音する言い方を表記したもの。このダリを演じるのが、なんと5人の俳優。一人だけ、年取ったダリを演じるディディエ・フラマンを除いては、あとの4人はくるくる入れ替わる。エドゥアール・バエー、ジョナタン・コーエンの2人は勿体ぶった話し方や、大きく見開いた眼(コーエンは見開かなくても大きい眼だけど)とか、とにかくダリそのもの。この2人の出番が多いのも納得。ピオ・マルマイとジル・ルルーシュはちょっとあんまりだったな。なんか、バカバカしいまでに演じる芸人になり切れてないというか。しかし、これ、どうやって撮ったんでしょうね。みんな同じように演じて、好きなところ切り取って組み合わせたのかな?
一方、フランス人ジャーナリスト役のアナイス・デムスティエは、ここではパッとしないダサい女の子。最初仕事だというのになんでこんなかっこしてるんだろうと思ったぐらいすごい。最近ファム・ファタル的な役が多いけど、この子元々美人じゃないので、こういう役の方がぴったりくる。
ダリの奇妙さと、デュピユーのシュールな作風がシンクロして、予想通り非常にダ~~リーな世界が広がっています(笑)

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They Shot the Piano Player

映画
02 /20 2024
舞台は北南米、監督はスペイン、製作は西仏葡蘭ペルー共同のアニメ!

pianoplayer.jpg 「THEY SHOT THE PIANO PLAYER」
Sortie le : 31 janvier 2024
De : Fernando Trueba, Javier Mariscal
あらすじ ニューヨークの音楽ジャーナリストのジェフは、60-70年代以来忽然と消えたブラジル人のピアニスト、テノリオの消息を追い始める。ラテンアメリカが独裁政権に席巻される直前の、束の間の自由な空気を謳歌していたアーティストたちをジャズとボサノヴァの融合された音楽で彩る…。

今時こんなアニメがあるなんて、と驚く手書きの絵がカクカクと動くレトロな作り。60年代に活躍していたピアニストの話なので、わざとそうしているのかもしれませんが。しかも、このテノリオはコンサートに出かけたブエノスアイレスで消息を絶ち、そのまま行方が分からなくなってしまった。当時アルゼンチンはクーデターで軍事政権になっていて、反体制派を大量に弾圧、処刑していたので、彼も収監・拷問を受けたのち殺されたのだろうと思われるのだけど、ブラジル人ミュージシャンで、政治に関わっていたわけでもない彼がなぜ?というのはよく分からないところ。もっとも、独裁政権下で行われることに理路整然とした理由などある訳もありません。しかし、彼が生きていたら、もっともっと素晴らしい音楽が生まれていただろう、と、実在のミュージシャンたちが証言する場面がたくさんあり、ほぼドキュメンタリーの趣。ご機嫌なジャズやボサノヴァがちりばめられて、これ実録で観たかったなあというのが正直なところ(笑)
南米の歴史は複雑でよく分からないし、知らないこともいっぱいなので勉強になりました。

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A man/ある男

映画
02 /16 2024
またまた日本映画。

aman.jpg 「A MAN」
Sortie le : 31 janvier 2024
De : Kei Ishikawa
Avec : Satoshi Tsumabuki, Sakura Andô, Masataka Kubota ...
あらすじ 里枝は大祐と再婚し、子供も生まれ幸せに暮らしていたが、大祐は事故で急死してしまう。ところが、疎遠になっていた大祐の兄が葬儀に現れ、遺影の男は弟ではないと言う。里枝の夫だった男は一体誰だったのか、弁護士の城戸に調査を依頼する…。

妻夫木聡のアップのポスターで、「ある男」は彼なのかと思っていたら弁護士だった(笑)。この話ってでも彼が主役ってことになってるのね。まあ謎解きをしていくのは城戸だけども、話の中心は偽物の大祐でしょ。安藤サクラ、フランスにいると日本の女優はこの人しかいないのかと思うぐらい出まくってますね。こちらに来ている映画が日本でのヒット作とは限らないけど。個人的には小藪千豊のキャラはまりました。新喜劇で大きくなった関西人としては、彼の大阪弁聞くだけで笑えます。あと、柄本明!息子たちが活躍していて、お父さんを見ることは少なくなったけど、相変わらずの怪演ぶりで安心しました。
で、この映画、小説が原作だけあって構成がしっかりしていて最後まで楽しめました。結構登場人物も多いけど、ごちゃごちゃせずにどの場面もそれぞれ面白くて。カンヌ組に比べると遅かったけど、それでも1年ちょっとで公開だから、前に比べたら早く観られるようになって嬉しい。

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